1760年代から始まった産業革命において、工場制機械工業の導入が始まり、多くの女性が就労するようになり、コミュニティーの中で、就労しない家庭が、自分の自宅で、(時には、自分の子どもと一緒に)就労している家庭の子どもたちを預かって、保育する習慣ができていった。
しかしながら、一般の家庭が子どもを預かる際に、子どもが受けられる保育の質がまちまちであったため、1948年に「保育所及びチャイルドマインダー条例案」が作成され、1968年の「健康・サービス及び公衆衛生法(the health. Services anf the public health act 1968)」の施行をもって、チャイルドマインダーの登録が義務づけられた。1980年代になり、イギリスの教育改革の一環として、子どもの保護と福祉の促進のために、それまで数多くあった子どもに関する法律を統合化し、イギリス議会で、「チルドレンアクト1989」という法律が制定された。
この法律の中で、子どもの保護と福祉の促進のために、イギリス政府、地方自治体、両親、裁判所、保育サービス提供者及びチャイルドマインダーのそれぞれの役割が規定された。
『子どもの自宅以外の場所で、8歳以下の自分の子どもでない子どもを1日2時間以上 有料で預かる者=チャイルドマインダー』は、OFSTEDという政府機関に直接登録(Registration)し、その審査に合格しなければならないことになった。
法律を実行するための中央政府の役割は、教育標準化局:オフステッド(英:OFSTED (The Office for Standards in Education)という政府機関がチャイルドマインダーに関しての国家標準の制定、登録審査(英:Registration)及び保育現場の監査(英:Inspection)業務を行い、チャイルドマインダーの登録及び抹消を直接執り行なっている。
オフステッドは、監査の結果をチャイルドマインダーごとにウエブで公開しており、保育を必要とする人に無料で公開されている。チャイルドマインダーの登録時に100ポンド(13500円相当)の政府への登録料を支払い、それ以降、毎年100ポンドの年間登録料がかかる。
また、各地方自治体にチャイルドマインダー希望者に対する窓口を設置しており、登録に関するガイダンスを行っている。
また、政府のチャイルドマインダーへの支援策としては、チャイルドマインダーの開業時に、保育に必要なおもちゃや自宅の安全対策費用として、1000ポンドの支援を行うとともに、年間収入15000ポンド(200万円相当)までのチャイルドマインダー収入に対しての税制上の特典を設けている。
チャイルドマインダーになるには、まず、小児救命救急法を習得後、地方自治体に行って、ガイダンスを受け、小児救命救急法を習得後、登録申請を行う。登録申請には、自分及び同居する家族に犯罪歴がないことの証明書、健康である証明書、保険加入が必要となる。
その後、政府から認可されるには、オフステッドが派遣する監査官が行う『登録訪問Registration Visit』を受け、オフステッドが定めた保育標準を満たしていることを証明することにより、登録が認可され、チャイルドマインダーとしての活動ができるようになる。また、6ヶ月以内に保育コースを修了する必要がある。
日本において、ベビーシッターの教育やベビーシッターの登録・派遣を行っている会社がたくさんあるように、チャイルドマインダーの希望者に対して、オフステッドの保育標準を満たすための教育コースを提供したり、チャイルドマインダーと家庭とを結びつけることをサービスとする、地方自治体、グループ、民間団体がイギリスには、数百ある。
通常は、ボランティア組織の登録慈善団体やNPO法人という形をとり、協会(Association)研究所(Institute)という名前で設立されている。
それらの団体は、各々地域性を持っており、チャイルドマインダーへの勧誘、チャイルドマインダーの教育、オフステッドへの登録支援サービスや派遣サービスを事業としている。
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